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とおきひ――(forgot me not) ◆EchanS1zhg 【0】 『もしも人生がやり直せるとしたら、君はいつから、どの地点からやり直したいと思う?』 【1】 ……ガーコ。 ……ガーコ。 ……ガーコ。 ……ガーコ。 ……ガーコ。 ……ガーコ。 ……ガーコ。 ……ガーコ。 と、ひとつの機械が己が存在意義に従い、えづくような音を漏らし、その口からとめどなくと紙を吐き出していた。 このモノの正体は所謂コピー機というやつで、これの存在意義とはすなわち《複写》である。 非現実(オカルト)に頼れば幾多もの手順と労力を要するそれを、この機械は少しの電力とインクカートリッジ、 それと場合によっては必要となる僅かな代金によっていともあっさりと成し遂げてしまう。科学万歳。 そんなコピー機が吐き出しているものはしかし非現実(オカルト)に属するものであった。 トレイの中に積み重なってゆく真っ白なコピー用紙の上にはシンプルな黒い文字、または模様なものが印刷されている。 本物(リアル)な魔術師でなくとも、雑学(シュミ)の範囲ででもオカルトを齧っていればそれが何かはわかっただろう。 ルーン文字。 何世紀などという暦が使われ始めて間もなくの頃にゲルマンの民が生み出した文字であり、 幾つかの古代文字に由来し現代のアルファベットにまで通じる、半ば遺失されたとする古き”日常言語”である。 縦と斜めの線だけで表記されるそれは独特であり、故に覚えがよくオカルトの中では割とポピュラーな文字なのだが、 しかしすでに述べたように、元々はオカルトなどとは一切無縁の言語であり、文字でしかなかった。 故に、これは魔術の為の言葉ではなく――魔術の側に都合よく使用された言葉というのが実際には正しい。 オカルトは何より、非日常性と秘匿性を重んじる。 つまり、遺失されているなどの理由でもう誰にも使われておらず、本当の意味にしても自分達しか知らない。 そういう性質が必要とされる訳で、中世の頃、ルーン文字はその条件に合致し、それから”魔術言語”に生まれ変わった。 非現実の側の世界で密やかに改変と改竄を受け、非現実の側の言語体系の中にひっそりと加わったのである。 再びコピー用紙の方に目を移せば、そこに同じ文字ばかりが印刷されていることに気づくだろう。 ひとつは記号の『 』のような形をした2本の斜め線で構成されたもので、今の場合『ce n (松明)』を意味する。 もうひとつは英語の『F』のような形をした縦の直線に斜め線が2つついたもので、これは『ansuz (神)』を意味する。 2つは『 F』という風に並んでおり、つまり合わせることでこれは『火の神』と読ませるわけだ。 もっとも、ただそう表記するだけではそこに魔術などという非現実は発生しえない。 ルーンは洗練された魔術言語ではあるが、それだけで発現してしまえば世の中は魔術師で溢れかえってしまうだろう。 あくまで文字は陣を張る材料でしかない。 正しく非現実の道理に則り、配置してはじめて魔術言語として機能し、この場合においては『炎の巨神』を生み出すのだ。 科学側の言葉を用いて言い表すならば、言語は部品(パーツ)。陣は回路(ルート)である。 ステイル=マグヌスは吐き出され続ける紙をただじっと見つめている。 ひと目見てそうだとわかる白人らしい顔つきに2メートルを上回る長身。 髪の毛は真っ赤に染め上げられており、耳にはいくつものピアス。目の下にはバーコードのタトゥ。 きつい香水の香りを纏い、漆黒の神父服からジャラジャラと異質さを漂わせる彼は見た目通りに魔術師だった。 イギリス清教が懐に置く必要悪の教会(ネセサリウス)に属する魔術に対する為のの魔術師。それが彼の正体である。 彼は今、偶々に発見したコンビニへと立ち寄り、 ”いつの間にか”に使いきっていたルーンを”なんとなし”にコピー機を用いて補充しているところだった。 常時のように人がいれば異質極まりない光景ではあるが、幸いかな店員すらもこのコンビニには存在しない。 とはいえ、魔術師がコンビニで術符をコピーしている姿というものが奇異な光景であることは変わりないが。 だがしかし、ステイルがこのようなことを誰かに言われたとしたらなら、彼はこう返すだろう。 「魔術師がコピー機を使ってなにが悪いのだ」――と。 魔術と科学に関しては相容れないものだというイメージが一般にはある。そして、それは大まかに言って間違いではない。 大抵の魔術師は科学技術の産物を避けるし、中には徹底して科学技術を自身から遠ざける者も存在する。 そこでふと浮かび上がってくるのが――どこまでが科学技術なのか? という問題だ。 コピー機は科学技術のもたらしたもの。確かにそれはその通りだと皆が納得する。 では翻って、ルーンを鉛筆を使って記すとして、その場合使用する鉛筆は科学技術のもたらしたものではないのか? そもそもルーンを書き記す紙はどうなのか? 貴様らが読む魔導書は? 製本は科学技術の産物ではないのか? こんなことを言われたら、科学を否定する魔術師は目を落ち着きなくキョロキョロをさせるかもしれない。 つまりはそういうことである。 今時、教会の寄宿舎にだって全自動洗濯機があるのだ。桶と板で洗濯をする魔女なんて現代には存在しない。 実際に、魔術と相容れない科学とは科学により人間からズレてしまった存在を指すが……――これはまた別のお話。 さて話を戻すと、14歳という年齢にしてすでに戦力として活動しているステイルはコピー機を好んで使用していた。 何より楽だ。わざわざ使い魔(ファミリア)を使役するまでもなく、ボタンひとつでコピー機は従順な下僕と化す。 またコピー機はルーンを書き損じたりしない。 なによりこれは大きい。『魔女狩りの王』を呼び出すのに必要なルーンの枚数は数千以上となるのである。 いかにシンプルなルーン文字といえど、いやシンプルなルーン文字だからこそ些細な書き損じが致命的となる。 陣の中にひとつでも書き損じがあれば最悪、全体が機能しなくなることもありえるし、更には暴発まで考えられる。 そこまで考えれば魔術師にコピー機を使うななどと言えるものがいるだろうか? いやいないだろう。 ステイル=マグヌスは吐き出され続ける紙をただじっと見つめている。 しかし、実は彼はステイル=マグヌスであってそうではない見せかけだけの存在にすぎなかった。 そして、そんな魔術師の”残滓”を離れた位置からじいっと見つめている者がいた。 【2】 表通りに面したコンビニより道路を挟んで反対側。街路樹が等間隔で並ぶ歩道の上に2人の少女の姿があった。 夜が流れ落ちている。そんな印象を抱かせる麗しい漆黒の髪を持つ小さな、それでいて凛と強い印象を抱かせる少女と、 暗色のジャージに鼻の絆創膏と一見ボーイッシュだが、よく見ればとても女の子らしいとわかるポニーテールの少女。 炎髪灼眼の討ち手であるシャナと、2年F組の素直になれない女の子が一角である島田美波の2人である。 「ふむ、トーチか……」 そして、とても少女らの口からとは思えない厳つい声がその場に響いた。 シャナが首からかけるペンダント――コキュートスから届く、彼女と契約し力を与えている王――アラストールのものだ。 2人の少女と一柱の王はコンビニの中でただコピーを繰り返している怪しい男を見て、どうしたものかとその頭を悩ませていた。 昼過ぎの一時を神社で過ごし、食事と情報交換。そしてドタバタを経て、探し人を追って文字通りに飛び立ったシャナらであるが、 ものの数分で彼女らは異変へと行き当たることとなった。 澄み渡るような青空のキャンバスに、まるで泥水を零したかのようにもうもうと黒煙が立ち上っていたのだ。 先を急ぎたいところではあるが見逃すわけにもいかず、調査に当たったもののその結果は芳しくなかった。 完全に火の手が上がってしまったホテルの中に入ることは敵わず、さりとて傍には何者の気配も感じられず、 それでも近くに手がかりがあるのではないかと歩き回った末に見つけたのが、コンビニの中にいたトーチであった。 トーチ。それは人を喰ってそこから存在の力を奪った紅世の徒が、消えてしまうその者の代わりに置いてゆく代替物。 彼女らが発見したその男は紛れもなくそのトーチであり、放っておけば”いなかったこと”になってしまう。そんな存在だった。 「どう……思う?」 シャナはその小さな口から戸惑いを含んだ言葉を漏らした。 コンビニの中にいる男がトーチだということはフレイムヘイズである彼女からしたら一目瞭然なのであるが、 しかしどうしてこんな所にそんなものがいるのかという疑問があった。 誰があの男を喰らい、トーチにしてしまったのかについては考えるまでもない。 状況を鑑みれば紅世の徒であるフリアグネ以外に候補はいないし、トーチに残された薄白い炎がその証拠でもあった。 だが、常時であれば紅世の徒が人間を喰った後にトーチを残してゆくのは自然であるが、今はその常時ではない。 「彼奴の狙いが判然とせぬな」 アラストールの言葉にシャナは頷く。 視線の先にいるトーチは存在の力も最早薄く、放っておいても数時間。下手をすれば今にも消えかねないという風だ。 フリアグネが人間の手駒を得ていたとは聞いていたが、その成れの果てがあれなのだろうか? しかし駒として残したには力が弱すぎるし、ただ喰らったというのならわざわざトーチを残した理由がわからない。 「あの……シャナ。ちょっといいかな?」 美波に声をかけられたシャナは思索の糸を手繰る作業を中断し、意識をそちらへと傾けた。 さて彼女は何を意見するというのだろうか。何も知らないだろうに……と、そこでシャナは彼女の次の発言を察する。 「……”トーチ”って何?」 当たり前の質問にシャナは言いよどむ。 この先、同じようなことが繰り返されるなら今のうちに説明しておいた方が後々において楽ができるだろう。 フレイムヘイズや紅世の徒に関する事情を知ってもらっておいた方が色々とやりやすいのは言うまでもないことだ。 だがしかし―― 「(めんどくさいなぁ)」 ――というのが彼女の偽らざる本音であった。 人とのつきあいがそれほどということもあるが、そもそも性分として誰かに説明をするというのが得意ではない。 それに、今ここで美波に説明をしたとして有益な答えが返ってくるのかというと、それは怪しく思える。 「……………………」 とりあえず難しい顔をして、話していいのか慎重に考えているんですよという風を装い、シャナはしばし沈黙した。 この間にアラストールが説明を始めてくれたらいいのにななどと、そんなことを考えているのである。 しかしそんな心を見透かしているのか彼は無言を貫いたままで、しばらくの後、シャナは小さな溜息をつくことになった。 紅世の徒とは別世界から人間の世界へと訪れた者であり、人間を喰ってその”存在の力”を奪い自らの欲望を叶える者。 フレイムヘイズとは、それをよしとしない紅世の徒が人間と契約して力を貸した存在であり、紅世の徒を追い、討つ者。 大雑把に言えば、紅世の徒は乱獲者で、フレイムヘイズはその取締り官。王と言われるのはその中でも強い奴。 「――ってことでいいんだよね?」 「ふむ。端的に我々の関係を言い表していると言えるだろう」 美波がヴィルヘルミナから受けたという説明を聞き、シャナは胸元のアラストールと一緒にそれで理解は十分と頷いた。 例外や個々の事情により実際はそれほど単純ではないが、そこまで深い理解を求める必要もない。 彼女が持っている知識を確かめると、シャナはトーチの話の前提となる存在の力と世界の歪みについて説明を開始する。 この世のあらゆる存在が持つ《存在の力》とは、紅世の徒が現世にて力を振るう為の根源的なエネルギーになること。 そして、《存在の力》を奪われたものは存在そのものが薄まってしまい、 全て奪われるようなことになれば、この世から存在したという事実ごと、まるで穴を開けたかのように消失してしまうこと。 その穴を修復する為に世界は歪み、これが大きくなると世界そのものの崩壊に繋がることが恐れられている。 故に、それを懸念した紅世の王が人間に力を貸し与え、紅世の徒を討滅しており、これが両者が対立する理由であること。 「……消えちゃった人はどうなるの?」 「ただ消え行くのみだ。この世から存在したという痕跡は全て消失し、人々の記憶からも失われてしまう」 「で、でも……それって例えばクラスからひとりいなくなったら、覚えてなくても不自然だなってわかるんじゃ……」 美波の疑問はもっともだ。 存在の消失はこの世からその痕跡すらをも失わせるが、あくまでそれはその時点での痕跡にすぎない。 例えに挙げたように学校のクラスの中で考えれば、同級生の記憶や名簿の中などから名前は消えてしまうが、 その者が座っていた机が消えることはないし、その者が住んでいた家や部屋が消えてしまうこともない。 気づいていれば非常に不自然ではあるが、だがしかしその不自然を感じないのが存在の消失という現象なのである。 教室の中に空いている机があること。家の中に空いている部屋があることを誰も不自然には思わないのだ。 「そんな……友達でも……好きな人でも……」 「故にそこには看過しえぬ世界の歪みが生まれてしまうのだ」 シャナは美波の青くなった顔を見て出会った頃の悠二のことを思い出していた。 あの時もしつこく食い下がる彼にこんな説明をして、そしてあの時は怯えたり納得いかない彼を弱っちい者だと思っていた。 今は違う。あの時は”フレイムヘイズ”だけでしかなくて、今は人との絆を持つ”シャナ”だから気持ちが理解できる。 「そして我々はその世界の歪みを感じ取り、その気配を辿って歪みの元になる紅世の徒を追っていた」 「なるほど……でも、追っていたって過去形なのはつまり今はそうじゃないってこと?」 「歪みの気配を追うこと自体は変わっておらぬが、奴らはその時間を稼ぐ術を生み出した」 それがトーチである。 喰った人間を消化した後、僅かな存在の力でその人間とそっくりな変わり身をそこに置いてゆくのだ。 一見して本物と変わることのないそれを置くことで、一時的にではあるが世界に穴は開かず歪みは生まれない。 トーチは時間をかけて消耗し終いには消えてしまうが、世界の修復もそれに沿って行われる為、歪みも最小限に抑えられる。 「取っていったものの変わりにそっくりな偽物を置いてゆくから取っていったこと自体に気づかない……」 「トーチそのものは我々からすれば一目瞭然ではあるが、少なくとも喰った瞬間を捉えられなくなったのは事実だ」 一通りの説明を受けた美波はシャナから目を離し、今もコンビニの中で突っ立っているステイルの方を見た。 おそらくはあれがすでに偽物や、幽霊のようなものだということが実感できないのであろう。 「それで、あのトーチどうしようか?」 だんまりとし何かを考え始めた美波を置いておき、シャナは胸元のアラストールへと話しかけた。 今語るべきはトーチが作られることになった由来やその是非ではない。目の前のトーチをどうするかだ。 「あの酔狂な王であれば、ただの余興ということも考えられるが、しかし楽観するわけにもいくまい」 そしてシャナはアラストールと一緒に現時点でわかっていることをまとめなおした。 まず、フリアグネの作ったトーチなのは間違いないこと。そして非常に弱い消えかけのトーチであることだ。 故にあのトーチ単体ではそれほど脅威になるとは考えづらい。何か別の要素が混じってくると考えるべきだった。 「我々フレイムヘイズに対する罠なのかもしれん」 「……罠?」 フリアグネがシャナやヴィルヘルミナといったフレイムヘイズを最大の敵として警戒しているだろうことは予想できる。 なので、そのフレイムヘイズしか気づくことのないトーチを用い、対フレイムヘイズ専用の罠を張っているのではないか? そんなアラストールの考えを聞き、シャナはなるほどと納得した。確かにありえる話だ。 「この場所では我々にとって未知なる物や道理も多い、あの王がそれを使っている可能性もある」 フリアグネはその真名を”狩人”といい、これまで数多くのフレイムヘイズを返り討ちにしたフレイムヘイズ殺しである。 ただ強いだけでなく、難敵と見れば引き、攻入る時には策を巡らせ罠を張り、その勝率を高めることに余念がない。 また彼は宝具の”収集家”としても名高いが、集めるだけでなくそれを使いこなす術にも長けているのだ。 この世界で彼が何を引き当て、何を奪い取ったのか……想像するならばいかな可能性もありえた。 「じゃあ放っておく? すぐに消えちゃいそうだし」 「ふむ。最善ではないが、相手の行動が読めぬ以上そうするも已む無しか……いや、しかし――」 シャナは己の身中に住まう王の感情がいくらかの恐怖に揺れたことに気づいた。 紅世の王は一体何に気づき、戦慄したのか? 「トーチは1体だけとは限らぬ……」 「まさか!?」 その可能性に思い当たり、シャナもアラストールと同じように戦慄で身体を振るわせた。 目の前には1体のトーチしかいないが、しかしこれはこの1体しかいないことを保証するものではなく、その逆だ。 1体のトーチが見つかったということはつまり、この他にもトーチが作られている可能性を意味する。 そしてその可能性はある結末をフレイムヘイズと紅世の王に想像させた。 「この世界を壊そうとしているの!?」 「あくまで可能性ではあるが、あやつが以前あの街で何を企てていたかを考えればありえなくもないであろう」 《都喰らい》――その自在法の名前をシャナはうめくように口から零した。 紅世の徒が人を喰らい存在の力を得て、結果世界に歪みが生まれるのは先に述べたとおりだが、 その歪みの性質を最大限に活かし、一度に大量の存在の力を得ようとする方法が《都喰らい》である。 原理は単純で、まずはある一定の範囲内で大量の人間をどんどんと喰らってゆき、そこに穴埋めとしてトーチを並べておく。 そしてトーチの数が充分揃ったら、何らかの方法で一気に取り去ってしまい、世界に修復しきれぬ矛盾を発生させるのだ。 結果として、世界は巨大な矛盾を飲み込む歪みを発生させ、その一帯は諸共に消失させられてしまうことになってしまう。 消失させられたものらは全てが根源たる存在の力に還元されてしまい、それこそが術者の目的となるのだ。 シャナと対決した時にフリアグネが画策していたものであり、実際にそれは発動の直前まで進んでいて 彼女と、そして悠二の活躍がなければ彼らの住む御崎市は全てを巻き込んで壊滅し、フリアグネは絶大な力を得ていただろう。 「でも、こんな狭い世界でそんなことができるの?」 「……むしろ、このような狭い世界だからこそ容易に達成できるやもしれぬ」 シャナの白い顔が更に色を失った。 確かにアラストールの言うとおりだろう。この世界にはたった60人。あの人類最悪を加えても61人しかいない。 それぐらいにまで少ないのならば、逆に言えば世界に穴を開ける人数も少なくてすむということだ。 実際の都喰らいでは住民の一割も必要としなかった。ここでなら10人もトーチにすれば充分に達成できるに違いない。 「プライドの高い彼奴のこと。仮に人類最悪の言葉が真実だとしてもただ生き残って帰してもらおうなどとは思うまい」 「だからこの世界そのものを破壊して、その力で帰ろうってこと……?」 シャナの顔に今までにない深刻さが浮かび上がる。 ただひとりしか生き残れないとされる場所で、人々が互いにその席を巡って殺しあう。それはとても恐ろしい。 しかし、その中でその根底から破壊してひとり生き残ろうとしているものがいるのだとすれば、話はそれどころではない。 「杞憂であればそれにこしたことはないが、幸運に身を委ねて働かぬのは愚者のすることだ」 アラストールの言葉にこくりと頷き、シャナはトーチを強く見つめる。 フリアグネが《都喰らい》。または別の何かを目論んでいるとして、彼女が取りえる選択肢はそう多くはない。 ひとつは、フリアグネ自身を発見し討滅することで彼の目論見そのものを破壊してしまうこと。 もうひとつはこの自在法の性質を見切り、速やかに対処することで彼の計画を妨害、頓挫させてしまうこと。 「性格や狙いから考えてフリアグネが我らの前に姿を現すとも思えぬ、実際にヴィルヘルミナの前よりも引いたのだ」 「出てくるとしたら”王手”がかかった後。……じゃあ、あいつを見つけ出してってのは難しいか」 瞳に僅かな憂いを浮かべシャナは深く息を吐いた。 フリアグネを見つけ討滅することは困難だろう。何せ並の相手ではない。紅世の徒の中でも王と呼ばれる存在なのだ。 一度は倒した相手ではあるがそれは幸運が重なった結果だと理解しているし、今は悠二も傍にいないのである。 ならば今はもうひとつの手段を取るしかないとシャナは思う。 《都喰らい》はすでに既知の方策だ。ゆえにその対処方法も存在したし、実行した経験もあった。 「じゃあ、あのトーチを、消す」 それが唯一にして単純。確実な対処方法だ。 一度に大量のトーチを消されるから歪みも大きくなる。ならば、作られる端から消していけばそれを妨げることができる。 仮にも人であったものを消し去るのは非道にも映るだろうが、しかしシャナは使命に生きるフレイムヘイズであった。 しばらく止めているだけだった足を踏み出し、シャナはトーチの元へと歩み寄ろうとし―― 「待って!」 ――美波にその腕をとられ引き止められた。 【3】 「あの人。多分ステイル=マグヌスって人だと思う。 ウチはインデックスから聞いたんだけど、ばっちり特徴が一致してるし仲間だった言ってたもの。だから――」 だからなんだというのか。 あのトーチが神社にいた白いシスターの仲間だとして、しかし”あれ”はもう本物ではなくただの残り滓でしかないのだ。 消えてしまえば知っていたという記憶ごと失われる。だから消した後で誰かが悲しむなんてこともない。 そもそもすでに消えかけなのだ。放っておいても数時間もすれば消える。今ここで消したとしても大差はない。なのに、 シャナは自分よりはるかに非力な美波の手を振り切ることができないでいた。 「トーチが消えると記憶も消えちゃうんだよね?」 「そうよ」 「思い出とか、楽しかったこととか、想ってたりすることも全部なかったことになっちゃうんだよね?」 「そう説明したでしょ」 「もしその人に恋人がいたとしても、相手の人は恋人がいなくなったことにも気づかず生きてゆくんだよね?」 「なにが、言いたいの……?」 そんなことはわかっていた。 「ウチはそんなのイヤ」 「同情してるの? 初めて会ったあの男に? それともインデックスって子に?」 「それも、少しはある……けど、それよりもウチはそういうことがあったんだってことを忘れてしまうのが怖い」 「……怖い?」 美波の目には涙が浮かんでいた。 しかしそれは憐憫からくるものではなく、恐怖とそれ以外の何かのようだと思え、シャナは自身がそれに気づくことに怖気づく。 「これから先、忘れていることがあるのかもってずっと怯えながら生きてゆくのはイヤ。 けどなによりも、もしアキがトーチになってて私がいつかアキのことを忘れちゃうのかもって考えるのが、怖い。 私がトーチになってシャナやヴィルヘルミナさんに消されてみんなが私のことを忘れちゃって……、 そして私がアキのことを好きだって思ってたことも全部なくなっちゃうなんて……そんなの絶対に、……イヤ」 シャナの細い腕を掴む美波の手がガクガクと震えていた。 それは世界の裏側にある残酷な真実を知ってしまった者の反応で、今更ながらにシャナは教えてしまったことを後悔する。 「けど、そんなこと言ったって――」 「わかってる。これはウチのわがままだって……、シャナ達にとってはしなくちゃならないことだってわかってる。 けど、お願いだから……ウチらといる間はトーチを消さないって言ってほしい。でないと……」 「そんな、……勝手なこと」 心が軋む。そんなことはわかっていたのだ。だから努めて冷静にフレイムヘイズとして振舞おうとしていたのに。 「シャナは、もし”悠二って人がトーチになったりしたら”、そんな平気な顔して消すことができるの――?」 ――美波の手を思いっきり振り放した。 「うるさいうるさいうるさい」 胸元のアラストールと追いかけてくる美波が何か話しかけている。 しかしシャナはそれを一切無視して灰色の道路をずんずんと渡り、トーチが中にいるコンビニの前へと進んだ。 自動ドアが開き、「いらしゃいませ」という音声が店内に流れるが、消えかけのトーチはそれに気づいた様子もない。 更にカツカツと足音を立てて近づいたところでコピー機の前につっ立っていたトーチはようやくこちらに気づいた。 美波の悲鳴が聞こえた気がする。しかし、そんなの関係ない。 シャナに気づいて振り向いたステイルの胸に、彼女は右腕を伸ばし――突き刺した。 【4】 「うん? どういう事態なのかな? これは……?」 ”気づいたら”、どうしてか不機嫌そうな顔の美少女と、なぜか半べそをかいている女の子とが目の前にいた。 「あんた、ステイル=マグヌスってやつであってる?」 「……そうだけど?」 今いるここはどうやらコンビニの中らしいとステイルは認識する。 しかしどうしてここにいるのか、記憶はまるで夢を見ていたかのように不鮮明だ。 ホテルの中にいたことまでは覚えている。そして……そう、ルーンを使いきったから補充しにコンビニに入ったのだ。 今もコピー機が働いている音が後ろから聞こえてくる。どうやらそれを待っているうちにうとうとしてしまったらしい。 「(寝不足かな? ……戦場でぼうっとしちゃうなんてさ)」 とりあえず、その間に殺されなかったのは幸運だとステイルは神に感謝し、改めて目の前の少女らを見た。 自分の名前を知っているということは、どうやら知りあいの内の誰かと出会っているらしい。 「私はシャナ。こっちのは島田美波。それであんたに聞きたいことがあるの」 「ふうん?」 頭がすっきりしてきたところで、ステイルは少女らのことをよく観察してみる。 目の前で話しかけてくる小さい方の女の子は気配からして普通でないとわかる。間違いなく非現実(こちら)側の存在だ。 逆にその後ろで所在無さげにしているジャージの子は見たまんまに普通の子らしい。 経緯はわからないが、元からの知りあいってわけでもなさそうに見える。となればここで仲間になったのだろう。 「全部答えてくれたらインデックスって子の居場所を教えてあげる。いいでしょ?」 「へえ……って、それは本当かい?」 靄のかかっていた頭がまた一段とクリアになる。 インデックス。インデックス。インデックス。インデックス。インデックス。彼女こそステイルの存在意義であった。 「安心しなさい。あの子は私の仲間と今は一緒にいる。私の仲間は強いから彼女が危険にさらされることはないわ」 「それは、君たちに感謝するべきなんだろうね。うん、僕からも礼を言わせてもらうよ。ありがとう。 あーでも、少しは警戒されちゃってるのかな? 一体、彼女は僕のことをなんと言ってたんだろう?」 「仲間だって聞いてる。えーと……ネセサリウスって教会のシスターと神父なんでしょ?」 「そうか仲間か。仲間ね、うん。……そうだ。そこにツンツン頭の少年は一緒じゃないのかい? 上条当麻って名前なんだけど」 さりげない質問ではあったが、ステイルにとってはこの先の進路を決める重要な質問であった。 もしあの少年がインデックスの傍にいるのならば考えることは何もない。居場所など聞かずただ自分の仕事をするだけだ。 今更、彼女の隣を彼から掠め取ろうなどと卑しいことは思わないし、ただ自分が知るように自分を彼女の為に使うだけの話である。 しかし聞いてみると、あのいつでも守ってみせると豪語する少年はインデックスの傍にはいないらしかった。 「明け方頃に南西の海岸の近くで会って、話をして別れてそれっきり」 「ふうん。またぞろ女の子のトラブルに顔を突っ込んでいるのか彼は……やれやれ」 彼がどこかでまた別の物語の主人公(ヒーロー)をしてるというなら、夢見るぐらいまでなら罰は当たらないかもしれない。 「それで聞きたいことって? 彼女に会わせてくれるっていうならなんでも答えるけど?」 「まずは”これ”ね。あのホテルを燃やしたのはあんたなの?」 言って目の前の少女はポケットから一枚の黒焦げた紙を取り出した。 それが何かなど、仕掛けた張本人であるステイルしたら考えるまでもなかったが、しかし彼は口よどんでしまう。 「ああ……、それは僕のルーンだね。”ホテルが燃えていたのかい?” 確かにホテルには特製の結界を張っておいたけど……あぁ、じゃあ誰かがそれに引っかかったのかな?」 「ふぅん。結界が張れるんだ。じゃあどんな結界なのか教えなさい」 「うん? 知りたいのかい? いや、知っておかないと困るということかな。 何、簡単な結界さ。このルーンを張ってね、インデックス以外の人間がそこに入ってきたら……まぁ、そんな感じだよ」 「あのホテル以外にも結界を張ったの?」 「いや、誓ってあのホテルだけだよ。何せ手間もルーンの枚数もかかるものでね。 ひとつ張り終えてようやくって所だったんだけど……そうか、燃えているってことは”誰か来て”たんだな」 ステイルは困ったような笑みを浮かべ小さな息をついた。 わかっていたことだが、罠を張った後そこから離れてしまえばその結果がどうなろうと自分には知る術がない。 インデックス以外の人間がどうなろうともとは思っていたが、実際にそうなるとなんとも面映いものであった。 「じゃあもうひとつ質問。坂井悠二に会ったことは? それとここ数時間でバギーを見たことはない?」 「うん? それじゃあふたつの質問になるんじゃ……あぁ、なるほど。その坂井悠二というのはバギーに乗っているんだね。 男だと思うけど、彼も君たちの仲間なのかい?」 「そう。会ってない?」 「会ってないはずだ。けど見ているかもしれないな。えーと……おや、”いつの間にかに放送の時間は過ぎていたのか”。 まぁいいさ。彼女が生きているならそれ以外はどうでもいいことだしね。 ところで件のバギーだけど思い出したよ。少なくとも放送の前だったね。僕が見たのは」 「どこに向かっていたかわかる?」 「目の色が変わったね。……まぁいい、詮索はしないさ。 確かホテルの屋上から見たんだけど、橋のすぐ向こうで爆発があってね。そこから東に向かっていたよ」 「東? ……病院の方向じゃないの?」 「病院? そこに向かう予定でもあったのかな。けど、僕が見た限り、バギーは病院ではなく東の方へと走っていたよ」 「そう。わかったわ。ありがとう」 それで質問は終わりだったのか、少女は口を閉じそわそわとし始めた。どうやらすぐにもそのバギーを追いたいらしい。 だがステイルは何もお人よしで質問に答えていたわけではない。 「それで、インデックスはどこにいるのかな?」 「言う前に約束してもらうことがあるわ」 ステイルは呆れたように大きな溜息をはいた。なんとも稚拙で傲慢、アンフェアな交渉である。 とはいえ、彼女の為ならばなんでも飲むつもりでもあった。それで彼女が助かるのならば地獄に飛び込む覚悟すら彼にはある。 「まずひとつ。結界の罠を張るのを止めなさい」 「かまわないよ。インデックスを保護していてくれている人を間違って焼いちゃうのは僕にとっても好ましくないからね」 「それともうひとつ。そこにヴィルヘルミナっていう私の仲間がいるから、あんたも保護してもらいなさい」 「うん? それは随分と僕を軽く見ているんじゃないかな? こう見えてもここじゃあまだ”負けたってことはない”んだけどね」 さすがにその言葉にはステイルも怒りを覚え、心の中に紅い火花を散らした。 実力に自負はあるし、言ったとおりここに着てからは狂犬などを屠りはすれど、誰かに遅れをとった”覚えなどない”のだ。 「別にこれは私が言ってたってヴィルヘルミナに伝えてくれるだけでいい。 そして、できるだけ彼女の言うことに従って。あのインデックスって子を助けたいならね」 「脅迫……というつもりでもないのかな。よくわからないけど、まぁいいさ。 とりあえず言うことは聞こう。そのヴィルヘルミナにも君の言葉を伝える。けど、そこからは束縛を受けるつもりはない」 「それでもいい」 「じゃあ、そろそろインデックスが匿われている場所を教えてもらおうか。もうこれ以上は聞きたいことも約束もなしだよ?」 そうして、ようやくにステイルはインデックスの居場所を知り、少女らはバギーを追ってコンビニを後にしたのであった。 【5】 「インデックスが神社にね。 必要悪の教会(ネセサリウス)のシスターが神社に保護されているって、なにか皮肉のつもりなのかな」 ステイルは少女らを見送ると、いつの間にかに動きを止めていたコピー機でと振り返った。 そして出来たばかりのルーンをトレイから回収し、商品として並んでいた頑丈な紙袋に収めてゆく。 そしてそれを終えると、まずは言われたとおりに神社へと行ってみようと思い、一歩二歩と歩き、しかしそこで足を止めた。 「なんだろうね? ”なにかが足りない”。そんな気がなんとなくする」 なんとなくという感覚を魔術師であるステイルは軽視しない。予感は人間の持つ最も優秀な知覚とも言えるからだ。 しかし、その何かはどうにも頭の中で形になりそうもないようだった。 「さっきの女の子が嘘をついてた? いや、そうする意味は薄いか。インデックスやあの少年と会っていたのは本当らしかったし……」 ふむ。とステイルは眉間に指を当てて考え込む。頭の中に靄がかかっているのはわかるのに、どうしてもそれが晴れない。 ここしばらくぼうっとしていたこともあり、どうにも自分は調子が悪いらしいがしかし一体どういうことなのだろう? 一分ほどそのままでいたステイルはゆっくりと目を開き、そして目の中に映ったものを見てその靄の正体に気がついた(?)。 「あぁ、”これ”かな。きっとそうだね」 ステイルの視線の先。レジカウンターの奥にあった”これ”とは棚の中に並べられた大量の――煙草の箱であった。 【C-4/市街地・コンビニ/1日目・午後】 【ステイル=マグヌス@とある魔術の禁書目録】 [状態]:“トーチ”状態。ある程度は力が残されており、それなりに考えて動くことはできる。 [装備]:筆記具少々、煙草 [道具]:紙袋、大量のルーン、大量の煙草 [思考・状況] 基本:インデックスを生き残らせるよう動く。 0:煙草を吸おう。 1:神社に向かう……かな? [備考] 既に「本来のステイル=マグヌス」はフリアグネに喰われて消滅しており、ここにいるのはその残り滓のトーチです。 紅世に関わる者が見れば、それがフリアグネの手によるトーチであることは推測可能です。 フリアグネたちと戦った前後の記憶(自分がトーチになった前後の記憶)が曖昧です。 いくらかの力を注がれしばらくは存在が持つようになりました。 【6】 「ふむ。結果としてはシャナの判断が実を結んだ形となったか。何も聞かずに飛び出した時は些か肝を冷やしたがな」 「それは悪かったってば」 コンビニを後にしたシャナとアラストールは北へと向かい灰色のアスファルトの上を足早に進んでいた。 気持ちとしてはすぐにでも飛んで行きたいところだが、ホテルの火災によりこの上空は今、熱波の海と化しているのだ。 先刻も、熱を持った風に煽られた美波が大変なことになりかけたりもしたので、少し離れるまでは自重しなくてはならない。 そしてその美波が小走りで追いついてくると、シャナの前に回ってペコリと頭を下げた。 「あの、さっきはウチの言ったことを聞いてくれてありがとう」 「べ、別にあんたのためにやったんじゃないからね! 私はただあいつから少しでも情報が引き出せたらいいって思っただけで、偶々仲間の仲間だから残しただけなんだから!」 そう。シャナはあのトーチを消してしまうのでなく、逆に力を分け与えたのであった。 存在の力を操れるフレイムヘイズはトーチを消すこともできれば、逆にそのトーチに火を継ぎ足すこともできるのだ。 「しかし、腕をトーチに潜らせた時はさすがの我も構えたぞ」 「一応あいつが”ミステス”かもってことだけは確認しておこうと思って。何も言わなかったのは謝るけど」 「ミステスって何?」 「あー! 今度は教えない! うるさいから黙ってなさいよ!」 ”それ”が”シャナ”にとっての何もかもであった。 ミステスの少年との出会いが彼女を変え、揺さぶり、育て、今現在の”シャナ”を形作り、今回の結果を生んだのであった。 「(またヴィルヘルミナには怒られるかな。っていうか、あいつヴィルヘルミナに消されちゃわないかな……)」 ただのひとつのトーチも消せなかったなどと知られれば、また彼女を落胆させてしまうかもしれない。 一応の理屈は取り付くってはあるものの、根本にあるのは完全なフレイムヘイズにはあるまじき感傷でしかないからだ。 しかし、それこそが彼女が見つけた彼女にとっての―― ――自分(わたし)なのだ。 そこには辛いこともあったが、彼女はそれを後悔しない。なぜならばそれ以上のものを自分の中に持てるようになったのだから。 「シャナってツンデレだよね」 「はぁ!? なにそれ意味わかんない!!」 「ふむ。聞きなれぬ言葉だな。響きからすると英語圏の言葉ではなさそうだが――……」 【C-4/市街地・橋の近く/一日目・午後】 【シャナ@灼眼のシャナ】 [状態]:疲労(小) [装備]:メリヒムのサーベル@灼眼のシャナ [道具]:デイパック、支給品一式、不明支給品x1-2、コンビニで入手したお菓子やメロンパン [思考・状況] 基本:悠二やヴィルヘルミナと協力してこの事件を解決する。 1:橋を渡ったらそこから東に向かい、バギー(坂井悠二)の後を追う。 2:島田美波を警護しつつ、彼女に協力。姫路瑞希を捜索し、水前寺を神社に連れ戻す。 3:以上の目的を果たしたら一旦神社へと戻る。 4:東にいると思われる“狩人”フリアグネの発見及び討滅。 5:トーチを発見したらとりあえず保護するようにする。 6:古泉一樹にはいつか復讐する。 [備考] 紅世の王・フリアグネが作ったトーチを見て、彼が《都喰らい》を画策しているのではないかと思っています。 【島田美波@バカとテストと召喚獣】 [状態]:健康、鼻に擦り傷(絆創膏) [装備]:第四上級学校のジャージ@リリアとトレイズ、ヴィルヘルミナのリボン@現地調達 [道具]:デイパック、支給品一式、 フラッシュグレネード@現実、文月学園の制服@バカとテストと召喚獣(消火剤で汚れている) [思考・状況] 基本:みんなと協力して生き残る。 1:シャナに同行し、姫路瑞希と坂井悠二を探す。ついでに水前寺も。 2:川嶋亜美を探し、高須竜児の最期の様子を伝え、感謝と謝罪をする。 3:竜児の言葉を信じ、全員を救えるかもしれない涼宮ハルヒを探す。 [備考] シャナからトーチについての説明を受けて、「忘れる」ということに不安を持っています。 投下順に読む 前:交差する意志/潜伏する意志 次:エンキリサイテル 狩人vs.不知なるシズ 時系列順に読む 前:彼女の想いで――(MAGNETIC ROSE) 前編 次:エンキリサイテル 狩人vs.不知なるシズ 前:硫黄の炎に焼かれても(前編) ステイル=マグヌス 次:disappear/loss 前:ペルソナヘイズ(上) 少女には向かない職業 シャナ 次:forever blue (前編) 前:ペルソナヘイズ(上) 少女には向かない職業 島田美波 次:forever blue (前編)
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【シャナ】 【作品名】灼眼のシャナ 【ジャンル】小説 【名前】シャナ(当時は名前無し) 【属性】フレイムヘイズになる前なので人間(五巻) 【大きさ】少女並み 【攻撃力】毎日鍛えていたらしいので鍛えた少女並か 【防御力】至近距離で数十m以上の範囲の爆発(虹天剣か?)を受けて耐える 少なくとも普通の人間を遙かに上回る白骨の攻撃で生存出来る 【素早さ】少なくとも普通の人間を遙かに上回る白骨と鍛錬できる 【特殊能力】気配を探知する連中が気付けない天目一個を僅かに感知 存在の力を読むので、おそらく敵の攻撃を予測できる 人間と紅世の徒を気配で区別した 【長所】後にアラスと契約する 【短所】ぶっちゃけ人間の時の描写しょぼい 【備考】五巻の人間時代 1スレ目 171. 格無しさん [sage] 2010/09/09(木) 20 35 02 ID gx8M74WS 飴谷 千歳 ○>雨霧 八雲>二条レン=俺>京極真 :速度差で斬って勝ち ×>朱鷺宮神依:刀では攻撃力不足。時止めからボコボコ負け ×>稲葉達也:ティンダロス勝ち 朱鷺宮神依> 飴谷 千歳>雨霧 八雲 諸葛亮 ×スペランカー:動けないので鼻と口を閉じられ息の根を止められ負け スペランカー先生>諸葛亮 シャナ ○京極真>毛利蘭>江戸川コナン>赤坂美月 :常人を超える強さはあるので余裕 ×>二条レン=俺:任意で即死級なので無理 二条レン=俺>シャナ>京極真 .
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人間考察 ◆NQqS4.WNKQ 「お前…・・・『何だ?』」 橙色の着物に、赤いジャンバーというミスマッチな格好をした女の人の声が、僕に投げかけられる。 その酷く冷静な声は、僕が何度も繰り返してきた自問を、再び思い起こさせた。 ……僕は、何なんだろう? この世には、『紅世の徒』という、名の歩いて行くことのできない隣の世界、『紅世』からの来訪者達が居る。 彼らは、人間や徒が存在するのに必要なエネルギー『存在の力』を求めてこちらの世界にやって来る。 そして、存在の力を求めて……人を食らう。 いや、ある意味ではもっと酷い、彼らが食べるのは、肉体ではなくて、文字通り存在するための力であり、その力を食われた人間は、この世から『欠落』する。 彼らは元々そこに居なかった事になり、家族の居ない子供や、住む人の痕跡すら無い空家といった歪んだ欠落のみを残して消え、その事を誰一人気にも留めない。 この世からの完全なる喪失、それが紅世の徒に食われた人間の、末路。 ただ、彼ら徒も、こちらの世界で好き勝手に人を食らえるという訳では無い。 彼らの住む紅世と、僕たちの世界は、隣り合い互いに支えあっている二つの家のようなものらしく、片方が崩れれば、もう片方も滅び行く、という構図らしい。 その事に気がついた徒たちは、こちらの世界に現れた徒たちに、存在の力の乱獲を止めるように忠告した、けれどこちらの世界で自遊気ままに力を振るうことを覚えた徒たちは、その言葉には従わなかった。 そうして、世界のバランスに思い悩む徒たちは、ある決断をする。 自分たちも世界を渡り、自遊に力を振るう徒たちを討滅する、という苦肉の決断を。 ただし、弱い徒が世界を渡っても意味が無い、行くならば徒の中でも『王』と称される強い徒が行かなければならない。 だが、強いという事は相応に大量の存在の力を必要とする事であり、それは結局は世界のバランスを崩してしまう。 そこで生み出されたのが、彼ら王が人間の内に宿る、という方式だ。 人間が、自らの全ての可能性たる存在の力を捧げ、王がその人間の器に宿る。 王自身は紅世にあり、彼らと契約した人間が、自身の存在の力を消費してその力を借り受け、徒を討滅する。 人と徒の間のゆらぎのような存在『フレイムヘイズ』の誕生であった。 フレイムヘイズは徒が存在の力を食らえば、その反応たる世界の歪みを感知出来る。 存在し、力を振るうには人を食わねばならず、食えば敵を呼び寄せる、そこで、徒たちは一つの方法を編み出す。 食らった人間の一部、『トーチ』という食いカスのようなものを残すのだ。 トーチは残されたわずかな力しかなく、当然遠からず消滅するが、元々そこにあったものが緩やかに消滅するというプロセルを経る為、世界に大きな歪みを生み出しにくい。 無論大量に食らえばその限りではないが、それでも世界の歪みを感知するフレイムヘイズには感知され難い。 そして僕、坂井悠二は……そのトーチだ。 世界の真実など知らず、己が食われた事にも気がつかず、遠からず消滅していくだけだった筈の存在。 そうあの日、全てが静止した空間の中で、彼女、フレイムヘイズ、『炎髪灼眼の討ち手』に出会うまでは。 名前はシャナ……僕が、名づけた。 あの静止した空間、フレイムヘイズと紅世の徒が、自分たちの存在を世界から隠す為に展開する結界、『封絶』の中で、僕は消えかけていた。 正確に言うなら、その時すでに僕という存在自体は食われ、トーチが残されていただけのだけど、その僕の中に、ある『秘宝』が転移してきたのだ。 秘宝とは紅世の関係者など、存在の力を操ることの出来る者が作り出す、力を持つ道具の事で、それらの内幾つかは持ち主が奪われそうになったときに、とっさにトーチの中に隠される事がある。 そのトーチが自然消滅した時にはまた何処か別のトーチの中に、と延々と流転していくという仕組みで、僕が食われた時に、その一つが偶然、僕の中に転移してきたという訳だ。 そうして、封絶の事を認識できるようになった僕だけど、その時にはまた別に危機が迫っていた。 何しろ、封絶の中で動く存在という異常故に、僕を食べた怪物、『とある紅世の王』が作った僕に、再び食われそうになり、そこをシャナに助けられた。 その後は僕の中にある秘宝を放っておく訳にはいかないという事で、僕の事を食べた王を討滅するまでの間、シャナと彼女に力を貸している『王』、アラストールに保護(?)される形になって、そして僕は紅世に関する事実を知った。 そうして、紆余曲折の末、その王はシャナとアラストールに討滅され、僕はその時の戦いで残り少ない存在の力を消費して、消え去る……とはならなかった。 僕に宿った秘宝は『零時迷子』という名前で、その能力は『午前零時に前の日の午前零時の状態にまで存在の力を回復する』というもので、その力によって僕は未だにこの世界に存在し続けている。 その後にも色々な出来事があったのだけど、その中で僕は自問する事になる。 僕は、人間か、否か。 零時迷子は、確かに僕を消滅の危機から救ってはくれたけど、同時にもう一つの問題を残していた。 つまり、僕の身体は、永遠に同じ一日を繰り返している状態、わかりやすく言うと、不老の存在になったのだ。 紅世の徒や、フレイムヘイズと同じ。 僕は、短時間の消滅に怯える事は無くなった代わりに、いつかは人の世界では暮らしていけなくなる存在になった。 だから、僕は少しずつだけど、シャナ達と同じような存在のような自覚を得始めていた。 でも、ある時クラスメイトの一人、吉田さんは、僕の事をが好きだと、人間だと言ってくれた。 いや、吉田さんだけじゃなくて、ひょんな事から紅世に関わった佐藤や田中も、僕の事を坂井悠二だと受け入れてくれた。 いずれ捨てなければならない筈の、当たり前の生活、それを捨てなくてもいいんじゃないかと、そういう考えも、浮かんできた。 だから、僕は悩む。 僕は人間か、否か。 ◇ 人一人居ない街。 居心地の良さを感じなくもない空間の中で出会ったそいつは、最初何なのか判らなかった。 死体に宿った悪霊というものを昔に見たが、それに近い『人の姿をした壊れやすい何か』であり、それでいて間違いなく生きた人間。 中身が普通じゃないモノは色々見てきたけど、外見からして異常極まりない、生きた普通の人間、というのは初めてお眼に掛かった。 「へえ、トーチにミステス、か」 そいつ、外見に特に特徴のない、坂井悠二というヤツの話はまあ面白かった。 微妙に信じにくい話ではあるのだが、目の前に実物がいるのだから本当なのだろう。 何となくだが、興味を引かれる。 紅世の徒というのは、『この世界』の存在ではないという事だ。 前にトウコはこの世界には外があり、そこを目指すのが全ての魔術師の目的だと言っていたが、あるいはソコからの来訪者、という事なのかもしれない。 「君は、紅世の関係者じゃないの?」 「さあな、少なくともオレにはその存在の炎とやらは見えない。 判るのは、お前の見た目が普通の人間とは違うという事くらいだ」 悠二が色々と聞いてくるが、私はその紅世とやらとは関係無い。 私はただ、『見える』だけだ。 トウコ曰く、根源と繋がっているとかいうこの目は、あらゆるものの『線』を見通す。 それが人であれ、物であれ、形無い物であれ、そこにあるものなら何でも『壊せる線』 この世に誕生した時から内包しているという『死』そのものを見ているとか、まあ理屈はどうでもいい。 ようは、この目はあらゆる存在の死が見える。 「けど、そういう風に見えるって事は、やっぱりここにいる僕は幽霊みたいなものなのかな」 「幽霊? そんなものはそこいらじゅうに居るがお前とは違う。 連中には、生きているものに介入する力なんて無い。 何故って死んでいるんだからな。 お前はこうして現実に生きて喋っている、だからお前は幽霊とは違う」 私の見た坂井悠二像に、コイツはこんな感想を返して来た。 人間のようで、壊れやすいのだから意味的には近いが、近いだけだ。 『死んだ』モノは、もう『生きている』モノに戻る事は無い。 たまに間違えて動き出したり、死んだまま存在しているモノが居たりはするが、それは断じて『生きた』人間では無い。 「けど、僕は運よくこうしていられるけど、元々はそのまま消滅する筈だったモノで」 「別に世の中余命何ヶ月なんてヤツは山ほどいる。 寿命が何年あろうが事故で死ぬヤツはもっと山ほどいる、それだけの話だろ」 「違うよ、全然違う、トーチの最期は死じゃなくて消滅なんだって。 誰の……紅世の関係者以外の記憶に残らずに、この世から零れ落ちるんだ」 「奇特なヤツだなお前、自分が死んだ後に他人にどう思われるか何てどうでもいいだろ」 「……え?」 「死んだ後に自分がどう思われるか何て、『そんな事』確認仕様も無い。 なら、別に死ぬのも消滅するのも本人からすれば一緒だろう」 そう、死というのモノは二度と戻れない、捕まれば這い上がる事も出来ずに引きずり込まれる。 ああ、あれに捕まる事を思えば、生きているというのはどれだけ光溢れていることだろう。 生を失うという点では、死だろうが消滅だろうが、本人からすれば何一つ変わらない事象でしかない。 そういう意味でいうなら、悠二は間違いなく今ここに存在している。 「え、いやそれはそう……だけど。 でも、自分の事を誰も覚えていてくれないと言うのは、怖いと思わない?」 「さあな、悪名だけ残すよりはむしろマシな死に方かもしれないぞ? どちらにしろ、おまえ自身にはどうしようも無い事だろ、なら考えても仕方が無い」 「…………」 悠二が呆然とした感じで私の事を見てくる。 けど、そもそも私は普通の人間て訳じゃない。 私の中はとうに伽藍堂で、人間としてどうのこうの何てモノは存在していない。 人間として壊れてるヤツに人間的な感覚を問うなんて間違いだ。 「ああ、確かにお前という器は人間では無い別の何かだ、だけどそれが何だって言うんだ? 肉体的にはヒトでなくても、人間として生きているヤツだっているし、人間の姿形をしたまま、人間を止めるヤツだって山ほどいる。 結局、普通の人間というのは生物でなくてあり方なんだよ。 他者を何十人と殺せば、殺人鬼と、あたかも人間とは違うものとして扱われる、肉体自体がどうとか関係無くな。 そういう連中に比べれば、トーチだとかは関係なくお前は普通の人間だ」 そして、違うものとして扱われる私から言わせれば、悠二はどこまでも普通の人間だ。 何かしらの人間には無い力くらいは持っていそうではあるが、それだけ。 殺しても面白くない、普通で無い身体の、普通の人間でしかない。 「……僕は、人間でいて、いいのかな?」 「わからない奴だな。 お前は人間としての生を詰め込んで来て、そうして周りの人間も、お前を人間と、同胞として扱っている。 ならそれでいいだろう。 トーチだとかそんなものは、それとは全く別の事柄でしか無いんだよ。 お前が考えるべきなのは人間で『いていいのか』じゃなくて、人間で『いたいか』どうかだ」 だから、悠二というかミステス、いやトーチか、が人間か何て、決めるのは本人以外の何者でもない。 魔術師なんていう胡散臭い連中が人間として折り合い付けて普通に暮らしているし、どこまでも普通の人間が、どこかネジが外れて人間をやめたりする。 入れ物がどうとかじゃなくて、決めるのは本人の心持ちだ。 ……そして、コイツは多分そんな事はとっくに理解している、理解して、それで答えに迷っている。 その答えによっては、私はコイツを殺したくなるのかもしれない。 ◇ もう用は無いと思ったが、向こうはそうでは無いらしい。 そして、そういえば名乗ってもいなかった事を思い出す。 「オレは式だ、両儀式」 「そう、両儀さん、僕はさっきも名乗ったけど坂井悠二」 「式でいい」 悠二の方が年下なんだろうが、それで呼び名を変える理由も無い。 多分悠二は私の事同じくらいの年だと思っているだろうが、訂正する必要も無い。 「そう、式さん。 式さんはこれから、どうするつもりなの?」 「オレの目的? そんなの決まっている、あの変なのを殺す」 ああ、私の目的なんて、最初から決まっている。 トウコのところで割と長い間仕事を手伝わされてきたが、実際に人を殺せたのは数えるほど。 元々相手が人間でなかったり、殺したいと思える相手がいなかったりと満足できない状態だった。 そして、今回のあれは、今までに無いくらい殺したい相手だ。 だから、アレは私が殺す。 「えーと、何か心当たりでもあるの?」 「そんな物ある筈無いだろ。 オレは視る事しか出来ない、なら視て周る以外にする事なんて無い」 「力技だなぁ……」 「そうだな」 別に何時もの事だ。 私の役割は視ることで、捜したり考えたりするのは別のヤツの仕事だ。 「オレの知り合いに、黒桐幹也っていうフランスの詩人みたいな名前の奴が居る。 あいつは探し物に関してだけは一流だから何とかなるだろ」 そうか、そうなるとまず幹也を捜さないといけない。 そういうときに頼りになるのはトウコの奴なんだが、果たしてアイツはいるのか。 後は鮮花は出来れば会いたいとして、浅神藤乃は……今更興味は無い。 ……それはそれとして、だ。 「お前、まだオレに何か用か?」 「用って訳じゃないけど、目的としては一致しているのだし、一緒に行動しても良いんじゃないかな……?」 目的の一致、か。 悠二の言う、フレイムヘイズ達もアレを倒したいと思うのは間違い無いそうだが。 ただ、私は殺したいから殺す、悠二達は世界のバランスを守る為に殺すと、手段は同じだが目的には大きな開きがある。 まあそのくらいは別に大した違いでも無い。 ただ、そのフレイムヘイズという連中が殺したいと思える相手だとすると困るが。 「僕を力づくで止める?」 「いや、別に好きにしたらいい。 一緒にいて特に不快になるわけでも無いしな」 言いながら、先ほど悠二が告げたように、私も鮮花と幹也の特徴を告げる。 シスター服を除いても鮮花は基本的に人目を引く。 対して、幹也は黒い眼鏡で多分黒い服を着ている事くらいしか特徴の無い奴だ。 まあ悠二もどこかの制服くらいしか特徴の無い奴ではあるが。 「……ああ、そうか」 要するに、悠二も幹也並みに普通な、変な奴だ。 そう考えると、私について来ようとするのも変では無いのか。 【B-6/一日目・深夜】 【両儀式@空の境界】 [状態]:健康 [装備]:無し [道具]:デイパック、支給品一式、不明支給品1~3個 [思考・状況] 基本:主催者とやらを殺す。 1:黒桐幹也、黒桐鮮花を捜す。 2:坂井悠二が付いてくるなら好きにさせる。 3:フレイムヘイズというのに興味、殺せるならば……? ◇ 「決めるのは僕……か」 いや、それは判っていた事かもしれない。 ただ、選べなかった、選びたくなかったんだ。 シャナと一緒に戦うか、吉田さんを守るか、 自分自身でも情けなくなるほどに、僕は決めかねていた。 ……けど、そう遠くない、僕はその選択をしなければいけない。 【坂井悠二@灼眼のシャナ】 [状態]:健康。 [装備]:無し [道具]:デイパック、支給品一式、不明支給品1~3個 [思考・状況] 基本:シャナ、吉田一美、ヴェルヘルミナを捜す。 1:当面は他の参加者と接触しつつ、情報を集める。 ※清秋祭~クリスマスの間の何処かからの登場です(11巻~14巻の間) 投下順に読む 前:忍法 魔界転生(にんぽう しにびとがえし) 次:とある舞台の人間失格 時系列順に読む 前:Sleeping Beauty 次:とある舞台の人間失格 両儀式 次:天より他に知るものもなし 坂井悠二 次:天より他に知るものもなし
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鎖を解く鍵 ◆D2n.chRBO6 「圭ちゃん、詩音、レナ、沙都子。それから――」 最初はただの幻像だと思った。 だって彼は『あの日』から一度も私の目の前に姿を現さなかった。 『あの日』からあの笑顔もあの声もあの温もりも、見て、聞いて、感じることなどもう、できないものだと思っていた。 雛見沢から姿を消した、彼。 消したはずの―――彼。 なのに。それなのに、あの空間の中に、彼は居た。 現実味の無い事態への驚愕により声を掛けることは出来なかったが、あそこに立っていたのは、確かに彼。 嘘だ嘘だと否定の言葉が頭の中を飛び交う。 けれど、名簿に書いてある名の持ち主は、確かに彼。 「悟史」 そう、北条悟史。沙都子の兄。 ずっと逢いたかった。 ずっとずぅっと、待っていた。 これからも信じて待ち続けるつもりだった。 その思いが、漸く報われるのだ。 「待ってて悟史、絶対に私……!」 ――――草木が身体を擦り合わせる音がした。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 「面倒な事になったわね」 強制された殺し合い。 多くの人間たち。 己を束縛する首輪。 一番厄介なのは首輪だ。禁を犯せば爆発してしまう。 この小さな輪っかに爆弾が仕組まれているというのが単なる脅しではないことは既に視認済みである。 「しかも」 アラストールとのコンタクト。 それができなくなっているということは、この身体に備わった能力が何らかの形で制限されている。 やはりこれも首輪による働きか。ならば首輪を調べる必要があるか? 「なるほどね。まぁ一人くらい足手まといが居ても良い」 主催者の言いなりになるのは気が引ける。更に『紅世の徒』以外に刀を振るわねばならないのだ。 だが、首輪さえ解除することができたら、殺し合う理由が無くなる。 万が一無理だった場合も、幸い『紅世の徒』を誘き寄せる餌、坂井悠二は此処には居ない。 ならば主催者の言うように最後の一人を目指し、元の世界に生還しよう。 「だったら――」 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ どうしようどうしようどうしよう。 この赤い髪の女は危険だ。脳がそう言っている。 物音を聞き取った魅音は、草陰から女の行動を見守っていた。 こちらに向かってくる気配は無い、だがこの至近距離ではいつ気付かれるかわからない。 それに、此処には他の仲間も連れて来られている。 もしこの女と逢ってしまったら、きっとみんな―――。 考えたくないけれど、実際に一人の少女が目の前で殺されるのを目撃している。 有り得ない、なんてことは無い。おかしくはないのだ、何が起きたって。 どうするべきだ? ここでこの女を殺す? 駄目だ、きっとこの女には勝てない。 ならばどうすればいい? 逃げてみんなに危険を知らせる? 無理だ、きっとそうしている内に見つかってしまう。 だったら、だったら一体どうすれば――――!? 「だったら――」 赤い髪の女が此方を見た。 視線が、交差する。 「早速だけどこれ、もらってくわよ」 「……………え?」 瞬間、何故か、自分の胴体が遠くに見えた。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 赤い髪の女――シャナは、首と胴の繋ぎ目から血を流す亡骸へと近付き、手を伸ばす。 緑髪の少女――園崎魅音の遺体は未だ殺したばかりだからだろうか、体温を保っていた。 彼女には申し訳ないが、今はこうするしかないのだ。 「まぁ、人間のお前でも良い道具になったとは思うわ。感謝くらいしてやっても良いくらい」 血塗れの首輪を摘み上げ、デイバックの中へとしまった。 あとは頭がキレそうな人間を探し、分析させるだけだ。 「じゃああとは役に立ちそうな人間を見つけるだけね。…ついでにアラストールも」 右手に握った元は黄金だった紅の剣に、灼眼を映す。 その中に宿った炎は、消え去る様子は無い。 【一日目深夜/B-2 森】 【シャナ@灼眼のシャナ】 [装備]:黄金の剣@ゼロの使い魔 [所持品]:支給品一式、確認済み支給品1~2個 [状態]:健康 [思考・行動] 3 首輪解除が無理なら殺し合いに乗る 2 首輪の解除ができそうな人間を探す 1 主催者打倒 【園崎魅音@ひぐらしのなく頃に 死亡】 ※ 魅音の死体とデイバックは放置されています。 ※ 首輪はありません。 時系列順で読む Back 乱(みだれ)後… Next ”The third man” in the game to try again 投下順で読む Back 乱(みだれ)後… Next ”The third man” in the game to try again シャナ 061 フレイムヘイズ×矛盾×雌伏 園崎魅音
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【種別】 “紅世の徒”、通称 【初出】 公式ガイドブック完結編『灼眼のシャナノ全テ 完』 【解説】 “紅世の王”。真名は“訓議の天牛”(くんぎのてんぎゅう)。炎の色はワインレッド。コイン型の神器“ルテニアン”に意思を表出させていた。 『替移の接ぎ手』アーヴィングと契約し、フレイムヘイズとしての力を与えていた。 1895年、アーヴィングがファーディと共に[革正団]サラカエル一派に殺害されたことで、“紅世”へ帰還したと思われる。 【由来・元ネタ】 ソロモンの72柱の悪魔「ザガン(Zagan)」。序列61番の悪魔で、グリフォンの翼を持った牡牛の姿で現れるという。水をワインに、卑金属を金に変える、錬金術の遣い手。 「訓」は過ちを戒めるという意味があり、真名全体で「戒めを議論する天牛」という意味だと思われる。 なお、「天牛」とは中国語で「カミキリムシ」を指す単語であり、ここでカミキリムシと天上の牛とどちらの意味で使われているのかは不明。 【コメント】 ☆当然としてアニメシリーズには未登場。 ☆ルグやカリオペとは仲が良かったのかな。 ☆バラルやブリギッドやジルニトラとも、面識があったのかな。 ☆もしかしたらジルニトラと似た能力を持っていたのかな。 ☆[巌楹院]のゴグマゴーグや[とむらいの鐘]の“棺の織手”アシズや『九垓天秤』ジャリやソカルやウルリクムミやニヌルタやフワワやチェルノボーグやモレクや『両翼』のイルヤンカやメリヒムやウルリクムミの副官のアルラウネや[仮装舞踏会]の盟主“祭礼の蛇”伏羲や『三柱臣』のベルペオルやシュドナイやヘカテーやガープや[百鬼夜行]のギュウキやパラやゼミナやセムルヴや[革正団]のサラカエルやドゥーグや[マカベアの兄弟]のダーインとも絡んでいたら面白そうだったのにな。 ☆ザガンも新世界『無何有鏡』へ渡り来て、秩序派の“王”の一人として活動しているかもしれないな。 ☆番外編『さんじゅうしのしゃな』では、第6幕で兵士の一人として登場している。
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【種別】 階級 【初出】 V巻 【解説】 [仮装舞踏会]の兵科の一種。 索敵に長けた兵科であり、種々の目的の捜索など、情報収集を担当する。ウィネやザロービやピルソインやハボリムやレライエやオセがこの兵科である。 基本的に戦闘に長けた巡回士とコンビを組んで活動するため、容易には討滅できない。 【元ネタ・由来】 由来はドイツ語で『狩人』を意味する「Jäger」だと思われる。 この言葉は近代の軍隊に取り入れられ、軽歩兵を意味するようになった。語源的に、日本語に訳すときは「猟兵」と言う言葉があてられる。 【コメント】 ☆アニメ版から登場していた。 ☆強大な“紅世の王”でも、[とむらいの鐘]の『九垓天秤』ジャリみたいな捜索に長けた奴は、捜索猟兵になる場合もあると思っていた。あと、布告官と禁衛員という兵科もあった。 ☆“王”だからって戦闘に必ずしも長けてるわけじゃないし、特性に合った兵種としてイエーガーになるのもありえなくも無かったな。 ☆[仮装舞踏会]の“王”で捜索猟兵らしいのは、禁衛員ウアルとマモンがまず思いついたが違っていた。あと、“徒”ではファレグもそうだったかもな。ブファルも怪しいな。 ☆フリアグネの真名をドイツ語訳するとイェーガーになってしまうが、いいのだろうか? ☆公式ガイドブック『灼眼のシャナノ全テ』などで確認したところ「ェ」ではなく「エ」なので、シャナでは「イエーガー」が採用されているということで変更しました。 ☆各ページ、「イェーガー」から「イエーガー」に変更完了した。 ☆[巌楹院]のゴグマゴーグや[とむらいの鐘]の“棺の織手”アシズや『九垓天秤』モレクやフワワやニヌルタやソカルやジャリやチェルノボーグやウルリクムミや『両翼』のメリヒムやイルヤンカやウルリクムミの副官のアルラウネや[百鬼夜行]のギュウキやパラやゼミナやセムルヴや[宝石の一味]の“瓊樹の万葉”コヨーテやフックスやトンサーイやイナンナや[革正団]のサラカエルやドゥーグやハリー・スミスやハリエット・スミスやクロード・テイラーや[マカベアの兄弟]のダーインやカルンや[轍]のギータやケレブスや[狂気の城]や『色盗人』のバロメッツやオオナムチやメアやフリアグネの“燐子”マリアンヌのことも情報収集していたのだろうな。 ☆番外編『しんでれらのしゃな』にも、ウィネが登場している。 ☆番外編『かぐやひめのしゃな』にも、ウィネとザロービとレライエが登場している。 ☆番外編『おじょうさまのしゃな』にも、ウィネとザロービとレライエとピルソインやハボリムやオセが登場している。 ☆番外編『さんじゅうしのしゃな』でも、全員が登場している。
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ヴィネー ウィネの別名。
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【種別】 “紅世の徒”、真名 【初出】 公式ガイドブック完結編『灼眼のシャナノ全テ 完』 【解説】 真名の読みは「こうやのたずな」。炎の色は若草色。 『玉紋の騎手』ナムと契約し、フレイムヘイズとしての力を与えていた女性の“紅世の王”。通称は名乗らず、名称も名付けなかった手綱型の神器に意思を表出させていたようだ。 『神殺しの戦い』にも、ナムと共に参加していた古い“王”の一人。ナムはイルヤンカとの交戦で戦死したが、その瞬間に創造神“祭礼の蛇”伏羲が両界の狭間に飲み込まれ、契約者ナムの意思総体もその余波に巻き込まれて、両界の狭間に引き込まれた。その後、空っぽになったナムの体を神器の手綱で完全に覆って、“曠野の手綱”自身がナムの体を操って「ナム」として活動していた。 その後は中央アジアの外界宿[故崖窟]を運営していたが、本編開始直前、サブラクの襲撃によってナムの体と神器が破壊されたことで、“紅世”へ帰還した。 新世界『無何有鏡』が創造された後、新世界へ渡り来てから数年後の外伝『ローカス』では秩序派の“王”の一人として活動している。 豪華客船『ロード・オブ・ザ・シーズ』号における『両界の嗣子』ユストゥスのお披露目の式典に出席していたが、[故崖窟]にいた頃と同様にラウンジフロアのバーカウンターで忙しそうに働いていた。 【コメント】 ☆当然としてアニメシリーズには未登場。 ☆「荒野の手綱」と誤記される事がある。原作の『ローカス』でも誤記されていた。 ☆ベヘモットやタケミカヅチやウァラクやウィツィロポチトリや“冥奥の環”アシズやシャフレワルや相柳とは、面識があったのだろうな。 ☆[百鬼夜行]や『約束の二人』ともナムとして親しくしていたから、世話好きな性格のようだ。 ☆[巌楹院]のゴグマゴーグや[とむらいの鐘]の“棺の織手”アシズや『九垓天秤』フワワやニヌルタやソカルやモレクやチェルノボーグやウルリクムミや[宝石の一味]の“瓊樹の万葉”コヨーテやフックスやトンサーイやイナンナや[革正団]のサラカエルやドゥーグやハリー・スミスとも絡んでいたら面白そうだったのにな。 ☆“嚝野の手綱”も新世界『無何有鏡』へ渡り来て、秩序派の一人として活動している。 ☆番外編『さんじゅうしのしゃな』では、終幕で観客の一人として登場している。
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【種別】 “紅世の徒”、通称 【初出】 XV巻 【解説】 “紅世の王”。真名は“絢の羂挂”(あやのけんけい)。炎の色は菫色。 かつてダンタリオン教授の『強制契約実験』により“紅世”からこの世へ連れてこられ、使命感を持たないままサーレ・ハビヒツブルグと契約させられ、フレイムヘイズ『鬼功の繰り手』となった。 キザったらしい男の声で喋り、マリオネットの操具の形をした一対の神器『レンゲ』と『ザイテ』より意思を表出させている。 その口調の割に、細かな気配りが出来る性格の“王”である。教授のことを好敵手と呼び、恨んでいる様子は見られなかった。 【由来・元ネタ】 西アフリカの各部族の神話に登場する蜘蛛の姿をした妖精アナンシ、そのハウサ族での呼び名がギゾー(Gizo)である。神の僕の中でも一番の知恵者と呼ばれている。 「絢」とは織物の美しい様子を表し、「挂」は引っ掛けるという意味である。そして「羂」は本来ならば罠を意味するが、彼が『鬼功の繰り手』に与える能力に罠の要素は無く、この「羂」は仏が手に持つ紐状の武器「羂索」のことだと思われる。 そして真名全体で「神通の糸を素晴らしい技巧で掛ける」という意味だと思われる。不可視の糸を自在に繰る力を契約者に与える彼に相応しい真名である。 【コメント】 ☆『極光の射手』とは逆に、2つの神器に1人の“王”という変わり者だった。 ☆ウートレンニャヤとヴェチェールニャヤとも親しげに会話していた。 ☆顕現すると、やっぱり蜘蛛の姿だったのだろうな。 ☆XXI巻では、マージョリー・ドーとサーレが分解・改変していた『大命詩篇』の緻密さに感嘆していた。 ☆[巌楹院]のゴグマゴーグや[とむらいの鐘]の“棺の織手”アシズや『九垓天秤』ジャリやウルリクムミやチェルノボーグやモレクやフワワやニヌルタやソカルや『両翼』のメリヒムや[宝石の一味]のコヨーテやフックスやトンサーイやイナンナとも絡んでいたら面白そうだったのにな。 ☆アニメ第3期で登場した。 ☆番外編『おじょうさまのしゃな』では、招待客の一人として登場している。 ☆番外編『さんじゅうしのしゃな』では、幕間5で登場している。
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登録日:2011/11/27(日) 00 54 40 更新日:2022/09/23 Fri 07 44 23NEW! 所要時間:約 7 分で読めます ▽タグ一覧 シャナ チート トーチ ミステス 刀 刀剣 化け物 大太刀 天災 天目一個 宝具 日本刀 武器 灼眼のシャナ 贄殿遮那 贄殿(にえとのの)遮那(しゃな)とは、『灼眼のシャナ』に登場する不思議アイテム『宝具』の一つ。 主人公であるシャナの愛刀であり、もう一人の主人公坂井悠二が名前の無かった彼女に「シャナ」の名前を付けた由来でもある。 銘の「贄殿」はこの刀を鍛えた刀匠の住んでいた地にある谷の名(岡山県に実在した)であると同時に生贄解体場のこと。 銘の「遮那」は毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)、 つまり、「贄殿で作った凄い物」という意味と、「でかい神をも捧げてしまう贄殿=何者であってもぶち殺せ」という気概を兼ねたネーミング。 寸法は、全長約130cm、刃渡り約108.3cm、柄約21.7cm。 小柄なシャナの身の丈ほどもある大太刀(挿絵上ではそれより小さく見えることもあるが気にするな!)。 宝具はそれぞれ不思議な能力を持ち、『贄殿遮那』の場合は「刀そのものに対するあらゆる力や自在法の干渉を受け付けない」というもの。 単なる刀としても最高級の切れ味を持ち、「神通無比の大業物」とも称される武器(刀)として見れば極上の逸品。 反面、干渉の無効化能力は刀そのものに対してだけで使い手を守るような効力ではなく、 刀で防ぎ切れないような大出力の攻撃を受ければ、使い手は消し飛んで無傷の刀だけが残される。 また、触れた力を消滅させる能力でもないので、自在法であっても実体化した純粋に「硬い」物を何でも斬れるような能力ではない。 要は、基本的には最高に頑丈で、絶対に破壊されないというだけの刀。 この刀の持ち味を活かすには接近戦を挑むしかなく、使い手は相応の技量・度胸・力と運を求められる。 反面、どんな無茶な使い方をしても壊れることがないため、使い手がどんな技量と力の持ち主であろうとそれに応じた斬れ味・威力を発揮する。 また刀に干渉する能力は無効化するので、純粋な硬さによるものではない「破壊や干渉を受け付けない」といった概念的な能力による防御は無効化し、 純粋に物質やエネルギーの硬さの強弱の勝負に持ち込める。そしてこの刀は最高に頑丈であるため、理論上持ち主の技量と力さえ十分なら何でも斬れる。 持ち主が強者であってこそ優れた武器・刀として運用出来るという、まさに「強者のための刀」。 元々は数百年前の日本で、人を超えた力を持つ“紅世の徒”の強さに魅入られた人間の刀匠が強者のための刀を望み、 同じ想いを持った“紅世の王”を相槌に据え、自身の“存在の力”を繰り、刀に込めながら鉄を鍛えあげて作り出した。 自身の望む強さの「強者」に贄殿遮那を送り届けるために、刀匠が自ら望んで宝具を宿した人間の残りカスの加工物“ミステス”へと転じ、 数百年間世界各地を彷徨っていたが、シャナによって倒されたことで望んだ強者へと託され、以後シャナの愛刀となる。 ちなみに相槌だった“王”はその後も健在であり、後に“天目一個”が生まれた時のことを証言として残している。 ◆天目一個(てんもくいっこ) 贄殿遮那を鍛えた刀匠が、鍛えた刀を核にその身を転じた“贄殿遮那のミステス”。 見た目は隻眼鬼面を付けた、中身のない鎧武者。 名の由来は“天目一箇神(あめのまひとつのかみ)”。 実在する山の神にして鍛治の祖神である、偉い神様であり、それを信仰していた刀匠が、刀の届け手となる自身に名付けた。 「元人間の刀匠」「宝具『贄殿遮那』」「鎧武者“天目一個”」の3つの意思により構築された特殊なミステスであり、言わば贄殿遮那の化身。 ゲーム版では夢の結界内で再び打ち倒した天目一個にシャナは「うん、分かってる。ずっと一緒」と、愛刀として声を掛けている。 3つの意志の共通目的である「贄殿遮那に相応しい強者を見つけ出し、届ける」という行動原理に沿って行動するシンプルなもの。 しかし、その方法は「紅世の徒やフレイムヘイズの気配を感知したら問答無用で本気で殺すつもりで斬りかかり、死合う」と非常に物騒。 これは「強者」に能力の高さだけでなく、勝利を掴み取る運も求めたからであり、一応の理由はあるのだが襲われる方はたまったものではない。 なお、人間は徒に比べて決定的に弱いと認識しているため、攻撃することはない。 この行動原理に加えて、 徒のみならず、弱くても人間でさえ必ず持つ「存在の気配」が全く無い。 最小限の移動式封絶を張って行動する。 本体の刀同様、自在法の干渉を受け付けない。 という特性から、いつどこに現れるか全く不明かつ、 気配の感知や察知に優れ、自在法に長ける強力な力を持つ者こそ危険が増し、 天目一個自身も並外れた剣の腕と大きな統御力を持つため弱者では太刀打ち出来ない。 そのため長きに渡り多くの徒やフレイムヘイズが斬り殺され、さらには活動エネルギーとして喰われて消えていったため、 「化け物トーチ」「史上最悪の“ミステス”」「“紅世”に仇なすモノ」と様々な名で畏怖され、遭遇すること自体が不運としてもはや天災とすら扱われていた。 本編の数年前に日本のとある街を彷徨っていたところを、メリヒムの“虹天剣”で天道宮を覆う『秘匿の聖室(クリュプタ)』が破壊され、 漏れ出したアラストールの気配を感知したことで、 通りすがりのオルゴンを邪魔なので斬り倒した後に放置して天道宮に乗り込み、メリヒムも斬り捨てるなど、強烈な厄介事として現れるが、 その特性と行動原理を読んだシャナにより説得され、望む「強者との死合い」のために彼女に協力、アラストールの元に送り届け、 契約を結んでフレイムヘイズとなった彼女と戦った。 この時の「二代目炎髪灼眼」は封絶以外の自在法が使えない未熟極まる状態で、徒手格闘以外の戦闘手段はなかったが、そのために“天目一個”もミステスとしての能力が全く働かず、純粋に剣術のみで勝負することになった。 死闘の末、白刃取りと見せかけた受け流しで刀が深く床に刺さった隙を付いたシャナの頭突きにより、面が粉砕され転倒。本体である刀と離れたことで鎧武者は活動を停止、 残った鎧もウィネの命で発動した『非常手段』により破壊され消滅したが……… 本編の大きなネタバレに付き注意 “祭礼の蛇”坂井悠二にシャナが敗れた後は、この刀はシャナから離され、誰も使う者がいなかったため星黎殿の宝物庫に収められていた。 その間、贄殿遮那の意志は、「強者」…つまり自分(天目一個)が認めた主であるシャナの想いを常に感じ取って待ち続けており、いざ呼ばれた時のために、鎧武者にして贄殿遮那のミステス「天目一個」を運び手として形成して待機していた。 そして、無力を実感したシャナが愛刀である贄殿遮那を求めた瞬間、彼女に自分自身(贄殿遮那)を届けるために行動を開始。 シャナの元へと向かうのに邪魔な徒を斬り殺し、活動源として喰らい突撃、シャナの封印を解除した後は再び自分(刀)をシャナに託し消えた。 その際、星黎殿に居た徒の多くが指令役であり、直接戦闘に長けているものが多くなかったこともあるが、 あまりにも予想外の敵の出現により、要塞司令官のフェコルーも含めた死傷者が多数出た上、要塞内部の指揮系統が一時消滅する大惨事となった。 ちなみに、シュドナイは4巻の時点で「贄殿遮那から天目一個が再び現れる可能性」を示唆していた。 将軍パネェ! ……まぁ、そのお陰でこの時点ではまともな戦闘能力をもたない悠二のハッタリに完璧に騙され、時間稼ぎを許してしまうという失敗をやらかしてたりするのだが。 加筆・修正は天目一個と死合ってからお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 何でも斬れる能力でも無効化する能力でもない、fateのアロンダイトと違ってステータスも上がらない。すげえ硬派な刀だな。大好き! -- 名無しさん (2014-02-11 14 10 08) この刀とみくらべるとアロンダイトのがロマン武装に見えてくるな -- 名無しさん (2014-02-11 14 52 39) RPGなんかで言えば術なんかによる防御強化をガン無視できるようなもんだよこれ。よくよく考えるとそれだけで十分チート。 -- 名無しさん (2014-02-11 16 38 53) アロンダイトというか、要するにゲイジャルグだろ -- 名無しさん (2014-02-16 20 31 46) 「刀自体は」どんな干渉も受け付けないってだけだしアロンのが近いな。小細工抜きの「強者のための刀」・・・ロマンだぜ。 -- 名無しさん (2014-02-19 20 55 30) 天目一個の姿から戦国時代をイメージするけれども、封絶が発明されたのが1890年前後ということを考えると、意外に若い宝具だよな -- 名無しさん (2014-09-20 14 54 58) 一緒に造った王は何処いったんだろ? 天目誕生と同時に喰われたのだろうか? -- 名無しさん (2014-09-20 23 01 14) ↑ヨーハンが宝石の一味から奪った本に天目一個の誕生に立ち会った王の証言が記されてるから生きてるっぽい。 -- 名無しさん (2015-02-03 12 28 05) 「そういう概念だからなんでも斬れる」じゃなくて「絶対壊れないから理論上なんでも斬れる」ってのが無骨すぎて好き -- 名無しさん (2015-04-12 14 59 43) 製作秘話描いて欲しかったな。 -- 名無しさん (2015-07-12 02 44 44) 使い手のお陰でよく炎の剣扱いされる。ソラトとかキリトとか -- 名無しさん (2015-10-25 12 46 14) 別に術による防御強化を無視できるわけじゃないんだよな。純粋に硬いものの物理的な強度を引き上げたり、物理的な壁を生み出したりできれば(十分な強度があれば)受け止められる。ただ、攻撃を弾くだとか遮断するだとか、そういう力対力の勝負に持ち込ませないような効果は無効化して、無理やり力対力の勝負にさせる。で、この刀は持ち手の力についてこれないなんてことがないので、後は持ち手が相手を叩き切れるだけの力で振りぬけば理論上どんなものでも切れる(お前に切れるとは言ってない)だからな。 -- 名無しさん (2018-03-06 18 44 22) シャナに届けに顕現したときは一個さんパネェwって笑いながら読んでたわ -- 名無しさん (2019-03-07 19 34 28) 衛宮くん「ちょっと見せて」竜の騎士「テンション上がってきた」 -- 名無しさん (2019-05-01 19 34 10) ↑竜の騎士さんは最悪魔法剣が使えないので真魔剛竜剣で我慢してください。 -- 名無しさん (2019-09-20 18 51 28) ↑ 鍛冶屋のロンさん「壊れない…だと…!?」 -- 名無しさん (2019-09-20 19 30 15) 名前 コメント